任意売却事業再生ブログ:従業員50人未満の社長さんのための事業再生バイブル

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再生事例  1話目  スタート  謎の解明

資金ショートから、金融機関への返済条件変更、そこから3年で復活を成し遂げた会社をご紹介し

ましょう。

中堅規模のこの会社は、10年以上の実績のある会社で、決算書上は増収増益で一度も赤字に

陥った事などなかった。借金も、売上の40%弱で不動産はないものの、決算書上に資産もあり、

債務超過にも陥っていなかった。

なのに・・・・再来月には資金ショートになるという。

銀行へ融資をお願いしたが、断られたという。いったいどういう事なのか・・・

一般的に考えれば、銀行からの融資が受けられそうなものだが・・・・

我々は、事業の流れと資金の流れを把握する為に決算データの基となる総勘定元帳を過去3年

分調査してみた。これは事業デューデリジェンスと言う手法。つまり、お金の流れを嘘の記載のし

難い現金、預金の動きを追いながら各入出金項目へ仕訳される基の台帳だ。

この事業デューデリを行う事で、無駄な資金の動き、不正な資金の動きがないかを把握出来るだ

けでなく、本業の事業で、儲けが出せる事業かどうかも把握出来る。この会社は、無駄な支出も多

いが、どうやら本業で利益が出る会社である事がはっきりした。社長が言うように増収増益を続け

てきた事は間違いなさそうだ。

ならなぜ、融資が受けられないのか・・・・より一層なぞが深まった。

そこで、次にバランスシートいわゆるBSの資産と負債の調査に入った。これを資産デューデリジェ

ンスと私達は呼んでいる。この資産デューデリは、期末在庫の実際額を把握したり、売掛金の実

態を把握したり、資産の簿価を時価に換算したりする調査なので、それを客観的に調査するには、

様々な調査会社や鑑定機関、士業の方に頼まなくてはいけない。膨大な時間と手間と経費がかか

る。監査法人がワンストップでやるとしても、効率は良いものの高い費用がかかることには変わり

はない。

再来月には資金ショートするという状況にあって、そんな資金の捻出は無理である。

そこで、私達はヒアリングと独自の調査手法で行うこととして、なるべく外部への調査コストをかけ

ないように行った。事業デューデリと、資産デューデリを合わせても、コストは外部に委託するより

50%は削減できた。その支払い方法も分割支払いとしたので、資金繰りには重いコスト負担には

ならずにすんだ。

こ、これか・・・

事業外の投資損失や使途不明な資金が、BSの資産の中に隠されていたのだ。

金融機関もBSの中に不信感をもっていたのだ。粉飾決済疑惑である。どこの会社も多かれ少な

かれ銀行をはじめとする金融機関に借り入れがあるところは決算書をお化粧して債務超過になら

ないようにしている。これは公然の事実というか暗黙の了解である。貸し出している金融機関は決

算書を審査書類として内容を信用するしかない。

一方で金融機関の担当者も決算書が完全に実態と一致しているとは思っていない。

だから、独自のBS査定はしている。この会社はそのお化粧が厚く複雑にし過ぎて素顔が見えない

ところまで来ていると金融機関の担当者には映ったのだろう。

私達からすれば、この場面に至るまで金融機関は貸出を反復継続して貸出を続けて来たのだか

ら、金融機関にも責任があると言いたい。

融資を受けられないなぞが解けたところで、いざ再生手法の開始となっていく。

まずは、事業を止めずに資金ショートを乗り切る方法はないか・・・・

金融機関への返済を今月から止めれば、経常運転資金はギリギリだが、間に合いそうだ。さっそく

銀行にアポイントを入れた。次回は、第2話 銀行交渉

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